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住空間の詩的風景

住空間の詩的風景


プロジェクト

緑で縁どられた現代の長屋門(ゲート) ... 季節・風・光と影を写し出すスクリーン
ゲートに穿たれた開口(町家格子・櫛形窓) ... 見え隠れする緑・生活・灯り
色調・材質(有機的)・スカイラインを統一 ... 時間と共に住人の心に共感と懐古感を熟成
外壁・ゲート・並木に囲まれた道路 ... 路地のようなコミュニティ空間を創出
公共性のヒエラルキー ... 道路から室内へとゆるやかに変化

建築のグローバル化、規格化、価値観の多様性等により 日本の住宅地は百鬼夜行の様相を呈している。コンクリートブロック塀の中に、サイディング張りの国籍不明のバラック建築がたち並ぶ。塀の内部は完全なプライベート空間で 自由と言えば聞こえがよいが、無秩序で魅力のない街となっている。ところが休日ともなると、人たちは中世の街並みが残る(小京都と 呼ばれる)観光地へ、くり出し、一時的にその中に身をおいて、満足???して、それぞれの町へ帰ってゆく。日本人にとって今や詩的風景は、偶の休暇で体験する特別な場所となったのだろうか?現代において建築協定による縛りがどこまで可能か?という問題もある。そこで、日常空間を少しでも詩的風景に近づける為の具体的な提案をして見たい。

詩的風景を創り出す装置として、現代の長屋門(ゲート)を考えて見た。それに穿たれた開口は、昔の町家格子・櫛形窓のように内と外、公共と 私的空間の間を(緑あふれる中間領域として)ゆるやかに継ぐ。そして、道路から緑地帯の並木、ゲート、前庭、外壁、室内へと公共性のヒエラルキーは公共空間、中間領域、私的空間へとゆるやかに変化する。建築協定による材質、形状等の縛り(有機的、建築的な)も少しずつゆるくなり、室内において完全に自由となる。

ゲートは人体寸法から来る「尺」のモデュールで形づくられ、町家格子、櫛形窓の変形である開口から内部(前庭や外壁、住民の生活や灯り)が見え隠れする。

背景としての外壁(高さ、色・材質の制限)、緑地帯の並木、ゲート、さらに幹線道路からの入口に創られたアイストップ(町内のゲート・この街のシンボル)により囲われた道路は(緑地帯と共に)昔の路地のように住民たちのコミュニティー空間となる。

時と共にゆっくりと変わりゆく並木、緑やゲート、背景としての建物の 外壁(有機的材質)は人々の心の中で熟成され、いつかなつかしい詩的風景となってゆく。

住空間の詩的風景