良質で魅力的なストックとしてのワンルームマンション
(古くなっても空き室待ちの出るマンション)
国土交通省の住宅着工統計によると賃貸住宅はすでに供給過剰になっており、神戸市においてもアパート情報誌等によれば供給過多により家賃の下落は明らかで家賃2万円台のワンルームマンションも出現している。画一的で、魅力の無い建物は古くなると家賃を下げて対抗するしかない。家賃を下げると採算性が落ち入居者の質が下がると共に十分なメンテナンスも出来なくなるので益々悪い状況へと陥っていく。それを避けるためには多少高くてもその建物に住みたいと思わせる魅力のある建物にする必要がある。
そこで、過剰供給時代に入居を引きつける方法として、
(1) ゆったりとした魅力的な空間 (2) 外観のデザイン (3) 立地条件 (4) 設備の充実
等が挙げられる。
ところで、最近の傾向としてデザイナーズマンションブームがある。
今、なぜデザイナーズマンションか。
『今の若い人はデザイン《の善し悪しの判断が身についており》感度が良く一定のグレード以下のデザイナーズマンションブームを支えているのではないか。いい意味で一般の人が特に若い人の間で建築、住空間に興味を持ち始めたという状況が起きている』(Gフロント09号より 建築ジャーナリスト鈴木紀慶氏)
一方で画一的な物件は、個性を求められる時代になった今、空室が目立ち始めている。従来の概念に囚われず人間の普遍的な心理に基づいたキーワード(明るく、ゆったりと、健康的)を踏まえた上で入居者の個性が生かせるプランニングや質の高いデザインは、高感度の若者をはじめ、今後はいつの時代にも受け入れられつづけると確信している。
ル・コルビュジェのユニテダビタシオンを思わせる外観デザインは、個性的ではあるが刺激的ではなく、各階バルコニー、屋外廊下の色使いや階段室のデザイン、曲面の屋根も人々を楽しい気持ちにさせる。
個性的なインテリアデザインは、大きな付加価値となり他との差別化に繋がる。
a. 狭い空間を仕切るのではなく、狭いなりにボリュームを感じさせ、自分の個性で自由に仕切れる。
b. 片方の長い壁と梁型はコンクリート打放しとし、ビニールクロスの白い壁とのコントラストの違いを見せる。
c. 可動家具(ペンキ塗り)屋外廊下、バルコニーと同色系統の濃色とし、カラーコーディネイトする。
d. 長い打放しコンクリートの壁面にピクチャーレールを設け、天井のライティングダクトとダウンライト、スポットライトの照明で、ギャラリーのような空間を創り出す。
e. 室内物干金物を兼ねた天井付きのステンレスハンガーパイプは観葉植物やモビール等の吊り下げも可能である。
f. 最上階の住戸は、R型屋根の小屋裏部分も室内空間として取り入れ、ロフトを設ける。