今回の改修ではコストを抑えるため、全てを改修せず必要な部分以外は撤去する方法をとった。空いた土地は今後必要性と共に変化するだろう。その核となる茅葺き主屋の型が残ったことの意味は大きい。
現在の生活スタイルに合わせるため、システムキッチン、ユニットバスを新設等、水廻りの改修を行った。またアルミサッシ、床壁天井の断熱工事を施し見た目は古くても現行の住宅と変わらない生活ができるようにしている。
このような物件の改修では建物の劣化による予想外の工事が発生する。今回も残す予定だった土壁が柱の劣化により全面造り替えなど追加となる工事も多かった。
しかし、最終的に工事費を計算すると建物の撤去、外構整地費用を除けば改修工事費は坪あたり約45万円という金額が出た。(もちろん工務店の協力による所が大きかった)
延べ面積が広いので総額は決して安いものではない。予算が許せば手をつけていたかった改修箇所もあるが、なんとか収めることができた。
だが、この単価であるなら改修か新築か迷っている古民家の所有者に古民家の再生改修が高く付くといったイメージは払拭できるのではないかと思う。