古民家の行方

古民家の行方

古い街並みをつくりだしていた古民家だがここ10年、いやここ数年で急速に変化している。改修、維持しようという取組みも話題に取上げられるが、目立つのは消滅である。
働き方が変わったというのが大きい。実家で親と一緒に住み続けることが減ってきた。仕事の都合で引っ越すこともある。生れ故郷につながっていた鎖は簡単に外れていた。
人が出ていった。残った者も時が経つうち居なくなる。

空き家

空き家のうちはまだ町並み形成を担っている。しかし人の住まない家は劣化するのも早い。親戚もわざわざ手入れしようとは思わない。その存在すら知らないのかもしれない。

相続問題

相続の時期が訪れる。
誰も住むつもりがないので手放す場合が多い。
相続人が複数の場合、現金化した方が分かりやすいので処分する場合が多い。
相続人が一人でも相続税を納めるため処分する場合がある。
処分する場合でも建物をそのまま売ることは少ない。不動産流通市場は古屋付より更地が望まれる。大きな屋敷まとめて買う人はまれで、敷地を分割して購入させるという方に傾く。
(「大きな屋敷を購入できる人がいない」という分けではない筈である。駅前の1億円を超えるマンションが即完売するのだから。)

使われない建物は負動産

空き家のままであることは罪である。古い街並みを残す旧市街地では用途地域が商業地域に指定されていて容積率400%ということもよくある。
同じ面積でも容積率200%の土地の2倍の広さを持っていることになるのだから、建替えて活用するよう法律も言っている。

もともと現在の法律では、「古い建物は良くないので時期がきたら取壊し、建築基準法に則した建物をに建替えていきましょう。そうすれば街はどんどん良くなりますよ」という前提になっている。既存の建てものより悪い家ができるなんて思ってもいないのだ。