バルタン星人はなぜ美しいか

小林晋一郎著:『バルタン星人はなぜ美しいか 形態学的怪獣論<ウルトラ>編
4257036745.jpgその造形物がなぜ美しいかを語ることは容易なことではない。デザイナーは手を動かすことによって造りだす行為に理由はない。ただ美しくあるために手を動かすだけである。されど、美しいものには理由がある。
 美しいものを造りだすのが右脳であるなら、その理由を導き出すのは左脳だ。右脳で感じた「美しさ」を左脳で言葉に繙く作業は創造主であるデザイナーでも難しいのではないだろうか。

 この本が扱っている造形物はバルタン星人を始めとする「怪獣」である。幼い頃本気でTVのストーリーにのめり込めたのはこれら架空の造形物があたかも実在するかのごとく迫ってきたからである。これらの「怪獣」の形がなぜ忘れられないモノなのか、美しい理由は何かと言うことを曲線、単純化、パターン等といった幾何学的分析を用いながら見事に解説されている。
 ウルトラ怪獣を知らない人にとっては何のことだかわからないかもしれないが怪獣大百科を見て育った世代にとっては納得させられるデザイン論だと思う。
 この分析方法は対象が怪獣以外でも応用できそうだ。
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