家相・風水考/その3

 住宅の設計が進んでいくなかで、「家相をみてもらったら・・・・」という話がよくあるのは前回書いた。
 気になるのはその“家相を見た”という人が実際建物を建てる現場を見ていないことがあるということ。こちらが書いた図面だけで方位やハリだのカケだの判断している場合があるようだ。
 私は家相というものを否定しない。どちらかというと信じている方だ。しかし図面だけの家相は信じない。「家相」は何も方位や間取りだけで判断するものではない。家相でも最も大切なのは「敷地の状況」の筈だ。
 また図面だけで判断するにしても正確に設計図を読めない人がいる。
 例えば左図のような1階平面図があるとする。長方形の間取りの一部分が外部になっている。

 普通ならカケと判断するだろう。こんな具合に2階が載っているかもしれない。

 しかし2階がこのように載っていることもある。私にはハリが2ヶ所あるように見えるのだが。たとえカケだとしても、これら2つの事例を同じように判断はできないと思う。

 古くは敷地を見たり図面を詳しく見る必要がなかったかもしれない。でもそれは集落の習わしとして凶相の土地に家を建てるということがあり得ないという前提があったのではないだろうか。また建物の架構についても多くのヴァリエーションが存在せず、決まりきった建方しかなかったので、ハリ・カケという暗号のように単純化できたのではないだろうか。
 全てにおいて多様化している現代に於いて、その前提が崩れてしまっているので単純に机上で判断できるものではないと感じる。
 少なくとも敷地の状況を判断し設計した間取りを、何も見ていない人に「変えろ」と言われるのは解さないのである。