絵画のリアル

 雑誌『美術の窓』2005年7月号、巻頭特集は「写実VS現代美術 —新・リアリズム宣言2—」
 まるで写真のような・・・・写真にしか思えない作品が並ぶ。
 「写真」が身近になった現在、絵画でリアルを追及する意味があるのかと疑問に思った頃があった。像を忠実に写すのなら写真がある。なぜ絵画でリアルを追及しなければならないのか。
 最近デジカメで気楽に遊ぶことができるようになると、ようやくカメラは嘘つきであることが実感できるようになった。
 カメラのレンズを通して写る画像は歪んでいたり、色が異なったり。そして最大の特徴は普段見えていないものが見えているということ。写そうとしていないのに写っているということは現実ではあるだろうが本当のリアルではないのではないか。もちろん素人のカメラ技術であって、プロは写るモノが何か、カメラを構えたときに分かっているだろうが。
 逆に言えば、写真家は写したい画像を撮っているのであってそういう意味では写真も虚像である。
 しかし絵画のリアルというものからはものすごく大きなエネルギーを感じる。
 今回の表紙は諏訪敦氏の作品の一部。雑誌の写真からも感じることができるエネルギーは実物からはどれくらいなものか、一度体感してみたい。
 この夏には彼の作品集が発売されるそうだ。

関連リンク
美術の窓ねっと −生活の友社−
ATSUSHI SUWA 諏訪敦 公式サイト