実務において壁にぶち当たった時ひもとく本がある。
『建築馬鹿』第1集〜第5集 矢田洋著
第1集の初版は昭和44年(1969年)発行だからかなり古い。しかし書かれていることの本質は現在も変わっていない。建築設計において様々な面から理不尽な事柄に対する思い(愚痴?)が書きつづられているこの本、第1集の冒頭は「建築をやめたい人に」というタイトルから始まる。
「建築をやめたい人に」・・・・読んでいるとほんとに建築実務をやっているのは馬鹿だと思う。30年経っても何も変わっていない。いつも同じようなところで壁にぶつかる。ぶつかるところはそこに書かれているのだが。
この本の中で私にとって最も光のあたる言葉は、
「住宅設計の立場 − 業(なりわい)でなく営(いとなみ)とせよ」の部分である。(『建築馬鹿』第5集)
設計は営であるべきものである。それは非常によく分かる。しかし、実務では果たして営みになるような関わり方を求められているのか、疑問な点は甚だ存在する。
そして再び頁をさまようのである。