耐震性の問題

11月21日 在来木造住宅震動台実験 公開実験見学
 築およそ30年の住宅。2棟の間取り仕様はほぼ同じ。左側は建てられた時の状態、右側は耐震補強を施したもの。
 震度7クラス(兵庫県南部地震級)の振動が加えられると補強されていない方はわずか15秒で倒壊した。ここで加振は終了。報道では耐震補強の優位性がうたわれていたが、もう少し揺れが続いたならどうなっていたかは分からない。

 ここ数日、構造計算書偽造問題が話題となっている。安全であると信じてた(疑いもしなかった)マンションが震度4クラスに耐えられないという診断が一部報告されている。
 このような偽造問題はごく一部である(ことを願う)。しかし、写真のような住宅は町なかに数多く建っている。木造住宅の構造について規制が厳しくなったのはつい最近のことだ。もちろん以前から耐震壁量の計算などは考慮されていた。しかし10年前は新築でも右側の住宅のような耐震補強金物はほとんど付いていなかった。
 構造計算書が偽造されていたマンションについて、国や自治体の金銭的支援を求める論もでている。指定確認検査機関の落度が問題視され被害者救済の公的支援を国交省も検討しているという。
 だが耐震の問題について国や自治体が先にしなければならないのは公共施設の耐震補強ではないだろうか。例えば災害時、避難所にもなる公立小中学校のうち42%は耐震性が確認されていないという。
(平成17年4月現在 文部科学省公立学校施設の耐震化の推進
 「耐震性が確認されていない」というものはほぼ「耐震補強が必要」であると想像できる。耐震調査にも費用がかかるが、耐震性が確認できそうな物件から調査していくだろう。「耐震補強が必要」と診断されれば耐震改修が必要になるがなかなか予算を捻出できないのが実情ではないだろうか。
 耐震性の問題はニュースを賑せているごく一部の話ではなくとても身近な問題なのだが、報道はそのことを忘れている気がする。