雑誌『NewWORDS 2006 SPRING ISSUE』
月刊誌『Newtype』の増刊号ということなのでアニメ方面に専門的な雑誌なのかと思いきや、なかなか映画について面白いまとめ方という感想。
その中で山形浩生氏のコラム
「新開発と保存のあり方について 表参道ヒルズ」に注目。
単に古いからというだけで保存しろという話に一切耳を貸す必要はない。金を払っても維持すべき現代的価値を示せなければ、そんなものは壊しても一向にかまわないのだ。
一部分だけ引用すると過激な発言にも聞こえるが、タイトルにもある「保存のあり方」ということを大切に扱われている。
同潤会アパートはどこに保存すべき価値があったのか。景観・保存問題の絡まった表参道ヒルズが「建築」として(というより期待した安藤作品としてということか)いいものになったのかという話だ。
何を残すべきかきちんと分析できていない、とにかく何でも古けりゃ残せという「市民」的発想が、逆にメリハリのなさにつながり、変な屁理屈めいた保存のお題目を生んでいる。じきにそういうお題目は完全に忘れ去られるだろう。
そうそう。確かに世の中「保存」といえば何でもそのまま保存すべきという声が多い。建替えを推奨する気はないが、古いだけで骸(またはカタチ)を残すことは結局建物の価値を考えていないということにつながるのではないだろうか。街は博物館とは違う。本当に建物の価値を考えるなら、いかにしてその建物を利用できるか考えることだろう。もちろん利用する上で建物の改修、改造も必要になってくる。街のことを考えると建物を建替えることも選択肢に上がるだろう。
そういう建築の更新を考えるときには、元の建築にあるspiritsを読取りそれを受継ぐことは重要であると考える。いや、読取ってもロクでもないspiritsであると判断できるなら、切捨てることも重要だ。しかし、そういう作業をした上であるなら、過去の骸にとらわれる必要はない。改造にしても、その建築を構成する重要な要素は変わらないであろう。また建替わるにしても元の建物より優れた建築が生まれるはずだ。
「それができないのなら取壊すな」というようなことは、このblog開始当初にも書いていた。
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