『ホルニストという仕事』

ポール・プリッチャード:編/山田淳:訳『ホルニストという仕事—音楽家のビジネス・ライフ』読了

 一般に、ホルニストという人種は、あらゆる楽器の中でも一番危険な代物を扱っているせいか、多少風変りだが実に面白い人々であり、彼らと付き合うのは本当に楽しい。

「序奏」より
私も元ホルン吹きです。懐かしくこの本を手に取りましたが、やっぱり変な人が多いのかと納得です。
この本は主に音楽学校を卒業し、演奏者として仕事をするための指南書です。ホルン演奏者のことを書いてありますが、他の演奏者、いや音楽家でない人も十分興味ある本だと思います。例えば次の記述

 一番ホルンになり、また(より重要なこととして)一番ホルンの座にとどまり続けるうえで不可欠と私が考える資質は、次のようなものである。
 決断力、確固たる自信、強靱な肉体、図太い神経、柔軟性、
 超人的な集中力、タフな精神、繊細さ、狡猾さ、しぶとさ、
 政治感覚、リーダーシップ、頑固さ、ユーモアのセンス、
 独立心、チーム・スピリット、強い自意識、一抹の傲慢さ。

「一番ホルンの条件」より

「一番ホルンの条件」としては納得ですが、それ以外にこれら資質が必要な職種を非常に身近に感じます。「いくつか矛盾し合う要素が含まれている」とありますが、矛盾しようが必要なモノは必要なのです。何かが欠けてもうまくいきません。(それで一番ホルンが吹けなかったのか。
 奏法の記述や音楽的な指南よりももっとビジネス的なことについてこの本は綴られています。それもそのはず、原題は「THE BUSINESS」というイギリスの本だそうです。けれども5人のホルン演奏者が執筆しています。演奏者も上手いだけではやっていけないんだ。


 仕事に役立ちそうな名言をメモ
あなたが音を外したからといって、何も世界が滅亡するわけではないのだ!
5分遅れると皆が怒る。30分遅れると皆あなたを見てほっとするだろう
なぜか不安を解消させる言葉を探しているようです。