建築士連合会の会報誌『建築士』に連載されている「還暦を迎える建築士法」が面白い。
いったい「建築士」という資格は何なのか。制定のいきさつから謎解きのように書かれているので楽しみにしている。
今月号に最初の建築士の選考考査問題で最終問題に次のような問題がでたとある。
問:「あなたが或る一級建築士事務所の管理者であつたとする。もし或る人が或る建築物の設計を依頼してきたときに、それがあなたの事務所の技能的能力からみて到底出来そうもないものであつたならば、あなたは次のうちどの処置をとるか」
1.あなたの知っている他の有能な建築士を紹介する。
2.引受けた後知り合いの有能な建築士にやってもらう。
3.引受けて設計をまとめ上げた後、他の有能な建築士にやってもらう。
4.不明な点は建築主事に相談し、建築基準法に完全に適合するように注意して設計する。
5.責任をもつて引受け、大いに勉強して完遂に努力する。
非常に悩ましい問題である。いずれにせよ単に「断る」という選択肢がないのが面白い。「1.」は断っているのだが、自ら建築士を紹介している。単に断るだけなら建築主が自分以下の建築士のところに行く可能性があるからと思う。
「2.」は自ら設計をしていない状態である。(丸投げ?)「3.」もどこまで設計し何を他の建築士にやってもらうのかよくわからないが、下請けにだすということか。
依頼主の利益を一番に考えるなら「1.」~「3.」の中に解があるように思うがどうなのだろう。(回答は載っていない)
現在では紹介するだけのビジネスもあるようだし、「何でも設計できる」よりは「何でも相談できる」というほうが依頼主の利益という風に思う。