『愛国消費』


三浦展 著『愛国消費 欲しいのは日本文化と日本への誇り』
著者はマーケティング・アナリストであり、この本では多くのアンケート資料を元に現在の若者が日本嗜好であると説明している。アンケート資料は都合の良いところだけ抜き出すことも可能なのでどうかと思うが、これからの日本(の地方)は地域の誇りを大事にすべきという話。
参考になりそうなところをメモ


戦後から高度成長期、アメリカのような経済大国をめざしてきた。
1962年(昭和37年)東京オリンピック、開会まではできるのか不安だったが成功。 1970年(昭和45年)大阪万博、達成と国民の日本に対する自信。
1970年代、石油ショックにより「高度成長」の終焉。「新しい日本」と「自分探し」の素地。
1980年代、自分らしさがわからずマニュアル志向。
1990年代、マニュアルにとらわれない自分探し
多様化→現在に至る?

そのような中、国家と個人の中間が重要になっているという。高度成長期は国家と自分を同調させているのが最善であったが、成長も衰えた現在は個人と個人がつながる世界が重要であるということのようだ。

その個人をつなぐ触媒として日本の伝統行事や文物に注目があつまるという。
「大きい物語」のそれは「京都」や「奈良」といった日本を代表するものであったが、「中くらいの物語」ではそれぞれの地方の伝統行事や文化がそれを担う。

 どんな地方にも、その地方なりに、たとえささやかでも歴史があり、物語があり、伝統や神話もある。伝統文化もある。独特の生活や言葉がある。そういうさまざまな地方の文化が、新しい時代に適応しつつも、その地方ごとの「地方らしさ」を失わなければ、日本には無数の個性的な文化が並び立つだろう。それは、たったひとつの「日本らしさ」がある国よりももっと豊かな国であるに違いない。

「その土地に生まれ育った者が特権的にもつ郷土愛だけでなく、より多くの人々にさまざまな立場からその都市のファンになってもらわなければならない。」

本の全体からは今は地方の伝統文化が強いんだということ、郷土愛によってつながりをもつところが強いんだということが書いてある。全国的に画一化をめざした時代から地方独特の個性を発信する時代になったのだ。画一化されずに伝統を保ってきた地域は好カードを残していることになる。

広がっているために、仮にお金があっても、それを使う対象も、美容やファッションだけではなく、いろいろなものに広がっているのである。こうしたトレンドの変化に百貨店はついて行けていない。百貨店にカメラ売り場もパソコン売り場もスポーツ用品売り場も山岳用品売り場も建築図書売り場もないのである。これでは売り上げが減るのも道理であろう。

これは地方で何をすべきかという参考になる。百貨店以上に何でも揃えればいいのではない。