事務所の書棚を探してみるとC.F.A.ヴォイジーについての記事も見つかりました。
1987年の「ブリティッシュ・スタイル170年」展のカタログより
チャールズ・フランシス・アンスレー・ヴォイジイ(1857-1941)
ヴォイジイは、中産階級のための住宅を数多く設計した。(中略)
ヴォイジイは、家屋の隅々に気を配り、ナイフ・フォーク類、装飾品、鏡に至るまで、家全体を統一的に設計したのである。非常に細かい所まで、総合的に設計するという徹底ぶりからも理解できるように、ヴォイジイは、まさに「近代的」な建築家であった。というのも20世紀を迎えると、あらゆる物を設計、デザインすることによって、施主の美的生活あるいは精神的生活全体を規定しようとする建築家が、次々に輩出してきたからである。
丁度今から100年程前のイギリスでは、産業革命によって労働力が工場のある都市に集まり、住宅・都市問題が起っていたようです。「労働者の住宅の需要」「安い粗末な工場製品の普及」というような背景の中、ヴォイジイは活躍していたそうです。「ローコスト住宅」「工場製品からの脱却(自然素材)」という辺り、最近の日本の傾向と重なる気がします。
また、デザインについては
一連の作品群を見ればわかるように、ヴォイジイは、適度な装飾を好んでおり、厳格な純粋主義者ではなかった。 と書かれてあります。アーツ&クラフツ →アール・ヌーヴォーといったゴテゴテしたデザインの流れの中、割とさっぱりしたデザインです。こういったところに、展覧会で目が惹かれたのでしょうか。
ハート♥の装飾もカワイイし。