町並みをよくすると地価が上がる

先日の記事を書いているときに思い出した。
日経アーキテクチュア 2007年2月26日号 特集「形や色はだれが決める」より「京町家が集まると周辺地価が上がる

住宅地図と現地調査で調べた町丁目ごとに占める京町家の建築面積と、路線価を使って分析した。その結果、京町家が集積していることで周辺地域の地価を引き上げる効果が全域で655億円あった。
 (三菱UFJリサーチ&コンサルティング政策研究事業本部の)大庭氏は、同様の分析を中高層建築でも実施した。その結果、中高層建物が集積すると、周辺の地価を下げるという結果になった。その総額はマイナス788億円だった。

個人の利益だけではなく、皆が街並みのことも少し考えていくと住みやすい街になる。それが地価上昇という形で評価されたということだ。
しかし特集には書かれてないようだが、この地価上昇は嬉しいことだけではない。


地価が上昇すると固定資産税や、また大きな敷地を所有していると相続税に響く。住み続けるだけでは地価上昇の恩恵を受けることはない。手放すときにはじめて恩恵を受けることになる。
地価が上昇すれば、土地を担保に借りれる額が多くなるということはあるかもしれない。他で借りた額を返済するだけ稼げれば良いのだが、今住んでいる土地で稼ごうとすると大変だ。
けれども今の仕組みでは、付加価値のある高い土地ではそれだけの利益を生み出さないと保有できない仕組みになってる。
何らかの理由でこのような土地を手放した場合、高い土地と街並みを維持できる人に渡ればいいが、単に利益だけを得ようという人(企業)にわたると、高い土地を維持できる層は少ないから土地を細分化または中高層建築にして単価を安く、戸数を多くする手法を選びがちだ。また「地価上昇している人気エリア」として販売もしやすくなるだろう。彼らはそのことによって価値が下落することは考えていない。
何らかの手だてをしていかないと、街並みをよくするということが街並みを破壊する道すじの上に乗っているように思えるのだ。