建築家は自分のつくりたいものを好きにつくっているのか

朝妻さんの『家の値段−「設計料」の適正金額は? vol.2』で書いたコメントですが、「建築家(設計者)は自分のつくりたいものを好きにつくっているのか」という話、こちらにもメモしておきます。
匿名希望さんの書かれている

自分のつくりたいものを好きなようにやってんなら、お金をもらうんじゃなくて、逆に払ってもいいんじゃないの?
そんな子供みたいなことが通る業界なんて

コレについては設計する側としてもいろいろ考えさせられます。
でもね、程度の差はありますが、施主の言うことを何でも「はい、はい」と聞くスタンス・・・・これが耐震偽装につながっているんじゃないかと思うのです。
もちろん「偽装してくれ」とか「違法でもいい」なんて依頼主は言ってませんよ。でも何でも「はい、はい」と聞くなら、極端な話、偽装するか、依頼主と縁を切るかしか駒の進める場所がなくなるのですよ。
これは極端な話ですが、「違法でなければいいのか」ということも考えてみます。
例えば料理では「この食品添加物は規制されていないから大丈夫」とかいう話もある一方、「無農薬の野菜を使いたい」という料理人もいるわけです。
お客様の「安くて美味しいものを食べたい」という要望に応えるならべつに無農薬の野菜を使うことなどせず安い野菜を仕入れればいいことですが、そうじゃないだろうと思うのです。
建築の設計者のも同じだと思うのです。ホント、法律なんて最低限のことしか決まってませんし(おせっかいな部分も多々ありますが)、法的にはOKだけど「それはダメだろう」ということもよくあるのです。
自分の設計するものにポリシーを持っているからこそ
>「自分がつくりたいものができないなら、受けられません」
と言うことができるのだと思います。
もちろん、つくるものは依頼主によって変化します。同じ土地、同じコストで計画をしようとも依頼主が異れば同じ設計者でも建つモノは違ったものになります。「自分がつくりたいもの」というのは既に完成されていて倉庫から出荷されるのではないのです。
「自分がつくりたいものができないなら、受けられません」というのは「コレしかできません」という意味では決してない筈です。
(もう少し別の視点で続く予定)
以前書いたページもメモ
建築家は他人の意見を聞かないのか?」(ちはろぐ)
ポリシーはあるか」(ちはろぐ)