戦後は続く

「伝統構法の家がつくれない!」実務者の悲鳴に国交省が回答』 from 2008年08月01日 ケンプラッツ
住宅業界は「200年住宅」という言葉が飛び交い、新工法のハウスメーカーも「200年住宅」という冠をつけた商品が販売されているようである。
伝統工法で建てられた家は築100年を超すものも数多く残っている。今もそういった建物の改修をしているが、手入れを怠った部分については劣化しているが、それは更新が可能なようにつくられている。
また、基本となる軸組はしっかりとした木材を使っており、簡単に交換できない部材については劣化にも強い材料を選んであることが伺える。
ところが、こういった伝統工法の家をつくろうとすると様々な障害がでてくる。予算や、材料調達、職人という問題もあるが、一番やっかいなのは法律だ。伝統工法の住宅は法律がなかなか許してくれない。
新工法の「200年住宅」はまだ20年も実績がない。
伝統工法としては100年以上実績があり、また地域の状態に則して建てられている。
永く住むにはどちらがオススメだろうか。
「古い建物は粗悪である」という考え方がある。(「新しいモノが悪い筈がない」という願望もある)
この「古い」という言葉、ある程度は当たっている。住宅でいえば戦後の復興期、そして高度成長期。
少ない材料、多くの需要といった時代、その場限りの住宅も多く建てられている。そのような状況を規制するため法律も改正を重ねてきているが、その中で戦前の伝統工法は切り捨てられた。
規制する必要はなかったのか、それとも戦前文化の否定があったのか。
全てを表している訳ではないが、戦前・・・・明治末、大正〜昭和初期の頃の建物は材料、技術と共にいいモノが多い。
「いいモノだから残っている」という言い方もあるかもしれないが、今から30年、建物を残そうとして高度成長期の住宅よりも明治の住宅の方が楽に改修できるかもしれない。元がいいモノを使っているから。
しかし、法律的には高度成長期の住宅の方が楽かもしれない。伝統工法は切り捨てられたままだから。
本当に必要なのは「200年住宅」と新しい冠をつくることではなく、戦争で失われた日本の住宅様式を戻すことだと思うのだが、なかなかかないそうにないようである。
日本の戦後はまだまだ続く。
【追記】
新しい工法を否定する気はない。
しかし、今の状態は伝統工法を選択することができない。
粗悪だから選択できないのであればもっともだが、そうでなければ選択の余地は必要だろう。