金山宣夫 著 『国際感覚と日本人
』
日本人論を「マコト主義」という表現を通して解き明かしていく点では興味深い。
他の一神教諸国と異なり「捨てる神あれば助ける神あり」ということで神に対しては何をしてもよい甘えがあるという。外国で「神にかけて」というのは「良心に従って」という。「誠心誠意」「一生懸命」でありマコト主義者においては滅私奉公の形式を整えつつ、自分の帰属集団になんらかの便宜や利権をもたらすということが肝要であるという。
個よりも集団の利を優先する文化の中で集団の中で如何に振る舞うかという文化。またその集団の中で禁忌をおかしたときの救済処置についても述べられている。
ケジメは汚染をおとす象徴的行事であり、しばしばオハライやミソギがおこなわれる。それによって、「憑き物がおちる」「ふっきれる」ことができ、原初の理想状態に復帰し、「一枚むける」「生まれかわる」とい状態になるとされている。そのようにして「一から出直す」ことによって、汚濁のいちじるしい世間に身をおいても、「脇目をふらない」「無心でやる」という道がひらけてくる可能性がある。
「マコト主義」という点では面白いが、井沢元彦著「逆説の日本史」シリーズを読んでいる方が日本人の奥深いところにある共通意識のあり方に得心する。
後半に述べられている日本人の身体、仕草の特徴については事例の紹介的な内容で「かたちの文化誌」シリーズなどの方が医学、解剖学な視点や文化的な視点で語られているように思えた。