菅付雅信 著 『はじめての編集』
「編集」といっても主に出版物、そしてwebに関するデザインについてのガイダンス。実際にあった12回の講義の記録から編集されているので、講義に参加しているように読んでいけるが、大きな講堂ので聴講するかのように参考写真は小さくて見えにくい。(先人に囚われるなということか)
参考になりそうなところをメモ
まえがきより
僕は「編集」を次のように定義しています。
「企画を立て、人を集め、モノをつくる」こと
音楽の基本要素は「メロディ、リズム、ハーモニー」の3つだと学校の授業で習ったと思います。それに倣っていえば、編集の基本となる3大要素は「言葉、イメージ、デザイン」だと僕は考えます。
以下「企画」「言葉」「イメージ」「デザイン」について掘りさげた講義が続いていく。
「企画」では目的をもとに「新しい」「提案」「独占」「挑発」「再提案」などの手法を用いることが有効である。また異なるモノを掛合わせ、キャスティングしていくという内容である。
様々な要素が出てきているように感じるが、のちの「デザイン」の章では「きまりをつくる」というところに収束する。
印刷が発明される以前から編集は行われてきたという話にはじまり、現在Twitter、blog、Facebookなど個人で発信する時代、クリエイティブな人はどう評価されるのか。
現在はアーティストの作品が、その人自身のアウトプットの小さなひとつにすぎないのではないかと思うのです。つまり、「クリエイター>作品」になってきています。以前は「クリエイター<作品」、つまり情報の流通量が少ない時代においては、作品というのはクリエイターよりも遙に大きい存在でした。しかし今は違います。人生の方が作品よりもはるかに情報化されて、伝わっているわけです。ということは高く評価されるクリエイターになるには、評価される人生を送るしかありません。
自分自身を「作品化」するということまで言及している。
最終章では『ところで「美しい」とは何?』と題し、数学、音楽、建築を例に「きまりがあること」、新しいアートは「きまりをつくること」と記されている。
評価されるということは自分のスタイルをつくるということ。じぶんのきまりをつくりそれを守るということにつながりそうである。
【追記】
「きまり」というのは「作法」でもある。作法(きまり)が建物のデザインに及ぶ代表的なものが茶室と言える気がする。